【第1回】 母乳育児って大変なの?

産後はゆっくり?いいえ、運動会の開会式です

〜「夜は休みましょう」に潜む落とし穴〜

今回は、皆さんがちょっと夢見がちな
「産後って、ゆっくりできるんでしょ?」問題について。

先に結論を言いますね。
産後は、ゆっくりなんてできません。
例えるなら、運動会。しかも準備運動なしで始まります。

母乳でもミルクでも、産後は忙しい

「母乳だから忙しいんですよね?」
よく聞きますが、答えはNO。

人工乳でも、産後は忙しい。
夜も起きますし、体も回復途中です。

先日、他院で出産され、そのまま産後ケアを利用された方がいました。
その病院では、親切心から
「夜は休みましょうね」と毎晩赤ちゃんを預かってくれていたそうです。

一見、とても優しい。
でもその結果、その方は
夜の授乳も、オムツ替えも、沐浴も、何も知らないまま退院。

当院に来て、開口一番こうおっしゃいました。
「夜の授乳が辛い…起きるのが本当につらい」
そして「完全母乳で育てたい」と。

……ここ、矛盾しているの、わかりますか?

「夜は預かる」は、時に余計なお世話

母乳育児を続けたいなら、
夜の授乳こそが一番大事です。

母乳は、夜によく出るようにできています。
夜にしっかり吸わせることで、分泌は促されます。

ところが
「夜は寝て、昼に頑張ればいい」
「夜はミルクを足せばいい」

この思考、実は
母乳分泌不足への入り口

赤ちゃんは生まれてしばらく、夜行性。
昼はよく寝ます。
つまり、昼間だけでは吸わせる回数が足りないのです。

産後すぐは昼夜の区別なんてありません。
赤ちゃんに生活を合わせたほうが、実は楽なんですよ。

面会を減らすだけで、体は回復する

「夜は授乳で寝られない」
「昼は面会で休めない」

これ、産後の体には拷問です。

思い切って
✔ 面会はご主人だけ
✔ 昼でもしっかり寝る

こう決めてしまってもいい。

コロナ禍で面会を制限していた頃、
「やることがなくて、よく休めた!」
というママがとても多かったんです。

結果、
✔ 回復が早い
✔ 夜の授乳がつらくない
✔ 頻回授乳が自然にできる

産後はまず、休むことも立派な育児です。

陣痛のタイミング

皆さん、ごきげんよう。
助産師として長年お産に関わってきた私たちですが、今日も少しだけ“おせっかい”を焼かせてくださいね。

このブログ、「怖い」「厳しい」と思われるかもしれません。
でもね、不安な妊婦さんに本当に必要なのは、耳あたりのいい言葉よりも「いざという時に命を守る知識」なんです。
だから今日は、少し真面目に、でもできるだけ温かくお話しします。

経産婦さんの不安No.1

「誰もいない時に陣痛が始まったらどうしよう」

これは本当によく聞く悩みです。
特に経産婦さんは、初産の時よりもお産の進みが早いことが多い。

「まだこのくらいの痛み、大丈夫」
「パパが帰ってくるまで待とうかな」

そう思っているうちに、あれよあれよという間にお産が進んでしまい、
自宅分娩や車中分娩になってしまうケースも、残念ながらゼロではありません。

はっきり言いますね。
それは、赤ちゃんとお母さんの安全が守れない状態です。
命に関わること。だからこそ、事前準備が何より大切なんです。

陣痛が来た時の「現実的な対策」を決めておきましょう

「近くに実家はあるけど、昼間は仕事で不在」
「上の子を見てくれる人がはっきりしない」

そんな時に頼れるのが、陣痛タクシーです。
地域によって名称は違いますが、事前登録をしておけば、
陣痛時に優先対応してくれる心強い存在。

守谷市周辺では「フクロウタクシー」がありますが、
市外の方もぜひ一度、“陣痛タクシー”で検索してみてください。

そして一つ、経験からの正直な話。
ママ友さんの「何かあったら言ってね」は、気持ちはありがたいけれど当てにしすぎないこと
お互い子どもがいる身。いざという時に動けないのは、よくある話です。

どうしても預かり先がない場合は、
上のお子さんを連れてでも、まず産院へ向かうことが最優先
到着してしまえば、あとはスタッフが一緒に考えます。

困ったら、まず電話。
パニックにならず、落ち着いて行動することが、アクシデントを防ぎます。

実はもう一つ、大事な「心の準備」があります

これは医学書には載っていない話ですが、
私はずっと感じています。

赤ちゃんは、ちゃんとお母さんのことを見ています。

お母さんが大変な時、心配事を抱えている時、
赤ちゃんは意外と“空気を読む”んです。

「上の子の行事が終わってから」
「パパが戻ってきてから」
「これだけは片付けてから」

そんな想いが強い時、陣痛がなかなか始まらないこと、あります。

だから私たちはいつもお伝えしています。
赤ちゃんに、言葉で伝えてあげてください。

「この頃に生まれてくれたら嬉しいな」
「もう準備できてるよ」

ただし、インスタントは通じません。
日頃からのコミュニケーションが大事。
妊娠中だからこそ味わえる、特別な時間です。

私自身のお産の話を少しだけ

私は「陣痛は短い方がいい」と思っていたので、
「大きくなりすぎる前に、つるんと生まれてきてね」と話しかけていました。

結果、第一子は37週で破水、5時間で出産。
ちょっと早めでしたが、元気な2570g。
その分、陣痛はしっかり強かったですけどね(笑)

迷信だと言う人もいるでしょう。
でも、お産は100人いれば100通り。
わからないことだらけだからこそ、
信じたいものを信じていいと私は思います。

そこに他人はいません。
お母さんと赤ちゃん、二人だけのやりとりです。

最後に

妊娠中は、不安定になって当たり前。
でもあなたは一人じゃないし、赤ちゃんもあなたの味方。

どうか自分を責めず、
そして「準備」と「心の余裕」、両方を大切にしてくださいね。

今日も、お腹の赤ちゃんに一言。
それだけで、きっと違いますよ。

産後ケアって、どんなところ?

― ベテラン助産師からの正直な話 ―

「産後ケアって、どんなことをしてくれるんですか?」
これは妊娠中から、そして産後に、いちばんよく聞かれる質問です。

今日は、いいところも、勘違いされやすいところも含めて、
ありのままお話ししますね。

産後ケアは「ホテル」でも「託児所」でもありません

まず最初に、これだけは知っておいてください。
産後ケアは
✔ ホテルではありません
✔ 家事代行サービスでもありません
✔ 赤ちゃんを丸一日預けて自由時間を満喫する場所でもありません

産後ケアは、
出産後のお母さんと赤ちゃんの“命と心”を守るための医療・保健的な支援です。

目的はとてもシンプル。
• 産後うつを防ぐこと
• お母さんが一人で抱え込まないこと
• 赤ちゃんへの不適切な関わりを防ぐこと

「楽をするため」ではなく、
「壊れないため」「行き詰まらないため」の場所なんです。

何をしてもらえるの?
施設や自治体によって多少違いますが、基本はこんな内容です。
• 赤ちゃんの健康状態の確認
• 授乳やミルクの相談
• 抱っこ・寝かしつけ・沐浴などの育児相談
• お母さんの体調や気持ちの確認
• 必要に応じて、休息の時間

「これで合っているのかな?」
「誰にも聞けなくて不安だった」

そんな“立ち止まる時間”を、一緒に整理するのが産後ケアです。

「預けっぱなし」でいいの?
よく聞かれます。
答えは、ケースバイケースです。

本当に疲れているとき、眠れないとき、
一時的に赤ちゃんをお預かりすることもあります。

でも、産後ケアは
赤ちゃんをスタッフが育てる場所ではありません。

赤ちゃんは、お母さんと関わることで安心し、育っていきます。
「全部任せる」より、
「一緒にやってみる」「分からないところを聞く」
そのほうが、帰ったあとがずっと楽になります。

「何を相談したらいいかわからない」それでいいんです
産後ケアを利用する方の中には、
「特に困っていることはないけど、なんとなく不安」
という方もたくさんいます。
それでいいんです。

ただ、ひとつお願いがあります。
「してほしいこと」「聞きたいこと」は、言葉にしてください。
私たちは魔法使いではありません。
察することには限界があります。
• 少し休みたい
• 抱っこを教えてほしい
• ミルクの量が合っているか見てほしい
それだけで十分です。

産後ケアは「安いから使う場所」ではありません
自治体の補助で自己負担が少ないのは、
「たくさん使っていいから」ではなく、
「本当に必要な人が、使えなくならないように」という配慮です。

支援があるのは、ありがたいこと。
でも、そこには
支える人・場所・時間・労力がある、ということも
少しだけ覚えておいてください。

「ありがとう」
その一言で、現場はずいぶん救われます。

最後に
産後ケアは、
「母親としての出来・不出来」を測る場所ではありません。

頼ることは、弱さではありません。
相談することは、甘えではありません。

でも、
一緒に育てていく場所であることは、忘れないでほしいのです。

分からないことがあって当たり前。
うまくできなくて当たり前。

私たちは、
できるようになるまで、横にいる存在です。

ちょっと口うるさい助産師ですが、
本気で、あなたと赤ちゃんの味方です。

無痛分娩はどこも同じ?

~ベテラン助産師が伝えたい、陣痛の痛みとお産の本当の話~

皆さん、ごきげんよう。
妊娠中は、体調だけでなく気持ちも揺れやすい時期。
「出産が怖い」「陣痛の痛みに耐えられるか不安」
そんな思いで、このページを開いた方も多いのではないでしょうか。

最近は無痛分娩を選ぶ方がとても増えました。
理由はさまざまですが、
初産・経産に関わらず一番多いのは
「陣痛が怖い」「痛みに弱いから」
という声です。

これは決して甘えではありません。
私たち女性は昔から
「お産は痛いもの」
というイメージを強くすり込まれてきました。
経験したことのない陣痛を、
必要以上に怖く感じてしまうのは自然なことです。

陣痛の痛みは「孤独」で強くなる

助産師として感じているのは、
お産の痛みは
身体の痛みだけではないということ。

・誰もそばにいない
・不安を吐き出せない
・放置されていると感じる

こうした孤独や恐怖が加わると、
痛みは何倍にも感じられます。

逆に、
誰かがそばにいて
声をかけ
触れて
寄り添うだけで
「思ったより乗り越えられた」
とおっしゃる方も少なくありません。

無痛分娩のメリットと知っておきたいデメリット

無痛分娩には、痛みを和らげるという大きなメリットがあります。
ただし、リスクやデメリットも知った上で選ぶことが大切です。

・麻酔で陣痛が弱くなり、分娩時間が延びる
・食事制限や絶食が必要になる
・長時間の陣痛の末、帝王切開になるケースがある

「無痛分娩=産後の回復が早い」とは
必ずしも言い切れないのが現実です。

大切なのは「放置しないお産」

無痛分娩が良い・悪いではありません。
一番大切なのは
どんなお産でも、放置されないこと

当院では
痛みのピークを和らげつつ
自分で産んだ感覚を残す
「自然分娩マインドの無痛分娩」を行っています。

「無痛なのに、ちゃんと産んだ感じがある」
この達成感は、
産後の育児や赤ちゃんへの愛着にも
大きく関わってきます。

不安なあなたへ

今、不安でいっぱいでも大丈夫。
妊娠できたあなたの体には、
ちゃんと産む力が備わっています。

無痛分娩でも、自然分娩でも、
まずは自分の目で産科施設を見て、
空気を感じて、話を聞いてみてください。

SNSの情報よりも、
あなた自身の「合う・合わない」が何より大切です。

お産は、あなたが主役。
怖さの奥には、
まだ気づいていない強さが眠っていますよ。

妊娠が不安なあなたへ 幸せなお産につながる産科選びと心の整え方

すべては、ちゃんと「つながっている」

― 妊娠が不安になったあなたへ、ベテラン助産師からの話 ―

皆さん、ごきげんよう。
今日はちょっと大事なお話をしますね。

妊娠が分かってから、
「これでいいのかな」
「私にちゃんと産めるんだろうか」
そんな不安が次から次へと湧いてきていませんか?

まず最初に、これだけは覚えておいてください。
妊娠も、出産も、あなたのこれまでの人生も、すべて無駄なことはひとつもありません。
全部、ちゃんとつながっています。

「お産の森」は、想いの集合体

私たちは長くここにいると、つい当たり前になってしまうのですが、
実はこの場所、かなり“変わった産科”です。

建物ひとつとっても、
「なんでここまで?」と思われるかもしれません。
でもね、これ、自慢じゃなくて事実なんですが、
設計してくださった建築家さん、大工さん、現場監督さん、たくさんの職人さんたちが
ひとつの想いに向かって作り上げてくれた“作品”なんです。

私たちは「こうしたい」「こんな場所にしたい」とお願いしただけ。
形にしてくれたのは、その道のプロたち。

コンサルタントの方から見たら、
「産科で箱物にお金をかけるなんて非効率」
そう思われるかもしれません。

でもね、私たちの中では全部つながっているんです。
一本、太い筋が通っている。

私たちが一番大切にしていること

有床産科クリニックをやるにあたって、
大切にしたいことは、たったひとつ。

「みんなに、幸せなお産をしてほしい」

これがすべてのスタートです。

妊娠・出産って、実はとても繊細。
特に妊娠初期は、ホルモンの影響もあって
不安定になって当たり前です。

だからこそ、
・産科が怖い場所じゃないこと
・行くたびに緊張する場所じゃないこと
これが何より大事。

「ここ、何やってるところ?」
ちょっと気になる、ちょっと入りたくなる。
そんな外観にしたのも、理由があります。

リラックスできないと、お産はうまくいかない

妊婦健診のたびに緊張していたら、
お産はなかなかスムーズに進みません。

だから私たちは、
妊婦健診“以外”の理由で通える場所をつくりました。

・お灸のクラス
・マタニティヨガ
・アロマのクラス

「ちょっと怪しい?」
ええ、そう思われても結構(笑)。

でも、
「知らないからこそ、行ってみよう」
その一歩が、妊娠中の心と体を大きく変えます。

妊娠・出産への“思い込み”を、一度リセット

今の時代、妊娠や出産について
怖い情報、ネガティブな話ばかり目に入りますよね。

それ、ほとんどが刷り込まれた思い込みです。

まず必要なのは、「正しい知識に入れ替えること」。

そのために必修クラスを設けています。
「めんどくさい」と思われるのも承知の上。

でも、お産の森を
「第2の実家」みたいに感じてほしい
そう思っているから、何度も来てもらいます。

妊婦さんは、ちゃんと育つ

知識を得た妊婦さんは、本当に変わります。

・体の変化を理解できる
・不安に振り回されにくくなる
・「私もいいお産がしたい」と思えるようになる

早い方は、
必修クラス最初の「心得クラス」で気づきます。

「妊娠・出産って、もしかして自分次第?」

そうなんです。
怖がらされすぎていただけなんです。

行動するのは、あなた

情報があふれる時代。
でも、その情報が正しいかどうかは別問題。

だからこそ、
私たちは妊婦健診で確認し、調整し、必要なら休ませます。

でもね、
行動するのは、あなた。
産むのも、あなたの体です。

怖くていい。
不安でいい。

その思考の整理を、
院長や私たち助産師が一緒にやります。

誰も責めません。
選択は、すべてあなたのもの。

幸せなお産は、与えられるものじゃない

楽なお産と、幸せなお産は違います。

楽なお産は「与えられるもの」。
幸せなお産は「自分で積み上げるもの」。

 

最後に、妊娠が不安なあなたへ

妊娠した時点から、
「いいお産」ができるかどうかは、
もう始まっています。

でも大丈夫。
今、不安を感じているあなたは、
ちゃんと考えている証拠です。

せっかくお産をするなら、
自分を信じられるお産をしませんか?

私たちは、
本物の助産師として、
あなたにとことん寄り添います。