ビジョン

呟きです。

開院する前から、様々なところから取材を受けたり
コンサルを頼んだり、広告を掲載する際に
必ずこのビジョンを尋ねられてきました。

それはお産の森を創り上げるのに
欠かすことのできない作業だったと
今思えばそういうこと。

すでに終了した様な表現になりましたが
これから先も
ずっと求め続けられる事であり
発信し続けなければならないなのです。

ただ、この作業は私にとっては容易なこと。
開院前からそれはずっと変わっていないからです。

お産の森のビジョンは
幸せなお産を多くの女性に体験していただきたい。
そしてそれを育児やご自身の生き方に
役立てていただきたい。
ただそれだけですので。

しかし、このビジョンは田舎町には
ちょっと早い持ち込みでした。
私たちはただの新参者。
この町に10年住んでいましたが、
なにもこの町の事を知りませんでした。

この町の人が望んでいたのは
新しい病院で最新の診療。受け身の生活。

助産師外来での指導や生活改善、
東洋医学を浸透させていくことは
果てしなくハードルの高い事でささたが、
12年経って今振り返ると
沢山のお母さんたちが
「生き方が変わった」とか
「子育てに役立てている」などの感想が
多く寄せられていることに、
私たちはあらためて歩んだ来た道に
間違いなかったと感じています。

基本的に中身もビジョン通りです。
お産がつらなくない様に
育児の為に余力を残して
育児に困ることがない様に
妊娠中から寄り添う。

寄り添っていればいるだけ
普通では見えないことが見えて来ます。
「何か変?」「何か違うんだよね」という
いわゆる鼻が効いてくる。
五感が冴えてくるといいましょうか?

そりゃそうです。
産婦人科は仙人の様な生活をしていますから
コロナになるまえから自粛の日々
四季、盆正月、12月、曜日感覚どころか
24時間の感覚はもはやない生活です。

特に助産師は触診を密に行います。
お腹の張り具合、大きさ、赤ちゃんの様子
それぞれを五感を使いながら汲み取り
助産師診断を行っています。
ですから、時には
医師の診断より早く異常に
気付く事があります。
流石に後期以降ですが。

また、お母さんの性格とお産がリンクすることは
ままある事ですから、妊娠中に個々の妊婦さんの
お産のビジョンを私たちは思い描いています。

時に想定外で、心配をよそにつるんと
お産された時は、嬉しい肩透かしを受けた気分
になる時があります。

どうか沢山のお母さんが私たちを
肩透かししてくださる事を毎日祈っています。

そんな思いで運営してる様な
素朴な診療所ですが、
やっていることはプロだけにわかる
ちょっとレベルの高い事です。
安心して御来院下さい。

まあ、レベルが高いといっても
診療所でやれる事ですから、
受け取り方にも差があるかもしれません。

お産の森は
ただただ、寄り添うだけです。
しかし、寄り添う病院が少ない事を思うと
ただ寄り添うというのは、
医療として果てしなく高いレベルが要求される
ことなのです。

そんな寄り添いの裏は常に
ドキュメンタリーです。

自分たちで診れないならばすぐ母体搬送。
そう判断するのは正直簡単な事なのです。

赤ちゃんとお母さんを安全に診れるか?
自身の診療所全体の器をどこで見極めているかが
重要な事なのです。
もちろん、絶対的に緊急搬送の事例は踏まえての話。

お産って何が起こるか分からないのが
また怖い。
世の中では「病気ではない」という認識ですから
最近ではそのギャップに苦しんでいます。

………………

まあ、プロの世界の話です。
妊婦さんが余計な心配をしない様に
気づかれない様に振る舞うことも
プロの腕前なのですから。