愛の反対は無関心

お産の森では退院の際にアンケートを
記入して頂いています。

施設管理に漏れはないか?
もっと利用すやすいようにするにはどうしたら良いか?
など入院したから分かる目線での気づきを
教えて頂き改善する事を目的に始めました。

もちろんその中には私たちスタッフの戒めにも
なればと思い記入をお願いしてきましたが
近ごろの内容はどうにも的外れ。
「何様ですか?」というようなクレームが多くなり
クレーム用のアンケートに化しています。

もちろん改善が目的ですので
修繕点や改善点について話し合いを
毎月一ミーティングで行っています。

しかし最近スタッフの間では
「もう、アンケート見たくない」という言葉が
聞こえてくるようになり、ケアの向上どころか
士気の虚無感に繋がるようになりました。

お産の森のスタッフには誰一人
手を抜いて働く者はおりません。
毎日、私でさえ頭が下がる働きっぷりです。
個性はあるもののスタッフの信念にあるのは
妊婦さんが良いお産ができますように。
赤ちゃん産んでよかったと心から思えるような
お産を体験していただきたい。そういった
純粋な気持ちを持って働いている方ばかり。

褒めてくださる言葉は嬉しいけれど
やったことに関して重箱の隅をつつくような
感情的な内容を記入されたアンケートに
お産の森はどこまで応えていかなければならないのか?

名指しでクレームをしこたま書かれたときは
当然ながらどのスタッフも心が折れそうに
なっています。

個々が持ちうる知識や技術を懸命に発揮し
指導やケアを試みても、妊婦や産婦には伝わらず
返ってくる言葉が最終的にクレームでは
仕事へのモチベーションもダダ落ちです。

最近はそれの繰り返し。
スタッフの質が落ちたのでしょうか?
いいえ、私の経験の中でこれまで共に働いてきた
メンバーで今が一番レベルが高くなっています。
お産の森はこれから更にレベルを向上させて
いく事でしょう。

しかし、最近は妊婦さんには素直に受け取れないらしく
どちらかといえば「仕方なく助産師に診せてあげてる」と
いった印象を強く受けます。
ちょっと勘違い妊婦が増えた感じを受けます。

何がどう変わったかはわかりません。
一つは高学歴、職業妊婦の増加が
あるかもしれません。
もう一つはそれともに学歴はあれど教養が足りない方が
世の中全体に増えたのではないでしょうか。
ご存じかとは思いますが、教養=お育ちです。
恥を知らない恥ずかしい方が日本全体に増えてきた。

社会的にもクレーマーが増えているのがその理由です。
社会全体がクレーマーだから、クレームをしても
恥ずかしくない。という意識が根付いて来てしまったのです。
それが、恥ずかしい事なのです。

ある女子校の校訓
「恥を知れ」
というのもありましたが、まさに今わざわざそのような
言葉を校訓にしないと恥を意識できない時代なのだと
改めて感じました。

ちなみに、恥は学校で教わるものではなく
家庭で躾けられるものです。
だから、「お育ち」だというのです。

アンケートについて
治せる事象のご指摘ならありがたいご意見です。
例えば
★「排水溝が汚い。」といわれれば、
排水溝シートを毎回取り替えていただき
次に使用される方が気持ち良く使っていただける
ように工夫できました。
私たちはシャワー室を利用しないので、利用された
感想をご指摘いただき大変助かりました。

★「オムツの臭いが気になる」と言われれば
オムツ用のバケツを準備しました。

しかし、妊婦健診や産後の関わりで注意された事や
アドバイスを受けたことに関してケチをつけるのは
ちょっと違う気がします。

なぜならアドバイスも指導も関わるスタッフに
その知識がなければ指導はできません。
知識や経験があるからこそその方の身体をみて
助産診断やアドバイスができるのでは無いでしょうか?
また、それ以前にその方に関心や
興味がなければ、指導もできません。

言い方をかえると、そこに知恵と経験と愛があるから
指導やアドバイスができる。という事。
関心がなければそこに愛はありません。

助産師外来が怖いのうるさいの面倒などと
いろんなことを世間ではおっしゃっていますが
それは、知識も教養も愛も理解できないからです。

助産師外来であそこまで1人妊婦に指導ができる
助産師ってこの近辺にはいないでしょう。

実際、近所の同業者の方がお産されたときに
「どんな事をやっているか、教えてね」と
同僚の方からいわれるそうです。
が、おそらくケアを受けている側に
基本的な知識や経験がないので
お産中や産後に
何をやっているかもわからないと思います。
よって同僚にお伝えすることは無理だと思います。

妊婦健診で耳障りの良い言葉、
嬉しい言葉や優しい言葉を聞きたいのであれば
「自分のことは無関心でお願いします。」
と言っているようなものです。

私たちは出来るだけ自然分娩を推奨しています。
しかし残念ながら今のように
お花畑を飛び回っているような妊娠生活を
送っている妊婦さん達に
自然分娩に立ち向かうことなど皆無です。

今後、日本の人口は減少の一途です。
そのうち日本全体は医者はいれど美容皮膚科ばかり
産科医はまず稀少生物。お産は大学病院か総合病院。
ドクターコトーです。

今は人口に対して茨城はぎりぎり産婦人科医の数は
足りている事になっていますが、他県の様に
数年後には産婦人科医は明らかに不足します。

そのときに、待ち時間で文句言えるような
平和な時代だといいですね。
「だったら別の病院へどうぞ」と軽くあしらわれる
時代はすぐそこです。

医者に媚びへツラへとは申しませんが、
小中学生のように、どこでもここでも感情のままに
思ったことを表に出していては
そのうち誰にも相手にされないように
なりますよ。と申し上げておきます。

他院へ行けばお分かりだと思いますが
お産の森は特別に関わりを大事にしていますし、
丁寧な診察しています。
患者さんの声も聞き入れて、
こちらの都合を犠牲にしてまでも
患者の要望にお応えているつもりです。

そのうち病院側が患者を選ぶ時代になったとき、
そのような幼稚な方たちは、大病院で
ちゃんと相手にしてもらえるでしょうか?
逆に相手にしてもらえる今のうちに人間性を養って
置かれることをおすすめいたします。

これについては食の問題でもそうです。
今後、農家もへると食材が減ります。
売る物がなくなるとお店も減ります。
海外からの輸入が今のようにままならない時代
になるとなおさらです。
食糧受給ができなくなると
滅多に外食なんかできなくなります。
食材がないから飲食店も食事を提供できません。

すると食べるものだけでなく、売ってもらう物も
医療を受けることも、今のように当たり前に
手にすることができない時代がやってきます。

そもそもなぜわざわざ飲食店で食事をするのか?
を考えてみてください。
自分たちが食べたい物を自分で作れないから、
もしくは作りたくないから、
食べさせてもらいに行くのではないですか?

食糧受給が出来なくなり食事を作れなくなると
料金がまず上がるでしょうね。
お金を沢山払える方だけ外食できる時代。
そのうち日本円の価値がうんと下がってしまったら
飲食店は何を対価に食べさせてくれるように
なるでしょう。まるで「火垂るの墓」ですよね。
飲食店は当然、客を選ぶようになるでしょうね。
クレームばかりいう客は面倒くさいですから。

しかし、そういう悲しい時代にならなくても
本来、出された食事にクレームなどいえる
立場ではないのです。

食べさせて頂いているのですから。
「いつも美味しい料理を食べさせていただき
ありがとうございました。」ですよ。どんな場合も!

その謙虚さや想像力さえあれば、今だって
良い食材を選んでじっくりと時間をかけて
作って下さる食べ物屋さんには感謝しかないし
その食材を作って下さった農家や畜産業全てに於いて
感謝しかないはずです。

しかし、やはりここでもいってしまいますが
感性のない時代。
「安かろう悪かろう。」の時代だから
仕方ないのでしょうが、
今わからなくても近々嫌でも知る時代が
もう次期やっています。

食糧難で明日食べる物がなくなり
お金さえ払えば食事を口にできる時代では
なくなりますので、食事処へのクレームどころか
頭を下げてでも食べ物を分けてくださいと
涙ながらにお願いをする時代。

まさに火垂るの墓

長い待ち時間待たされるのも嫌だし
聞きたくも無い指導を聞くのも嫌でしょう。
私たちも
文句言われてまで妊婦健診やるのもいやです。
一所懸命知恵を絞って指導したことをスルーされ
挙げ句にクレームを書かれる。
正直まっぴらですよ。
だけど、赤ちゃんには未来があります。
私たちがちょっと我慢して理解できない妊婦に
忍耐強く指導をする事で赤ちゃんが少しでも
楽にこの世に誕生でき、未来を支えてくれなら
私たちは頑張りますよ。

お産の森の愛が届かない方が
お産の森にくるには
色んな意味でもったいないけれど
赤ちゃんにはここで産まれてよかったね。
ママに少しでも貴方に責任をもてるように
教えて帰すからね。と語りかけながら
妊婦健診をやっています。

愛の反対は無関心であるという事を伝えながら

神の加護を