産後のお母さんたちが、とても気にするもの。
それが“赤ちゃんの体重”です。
もちろん大事ですよ。
大事なんですが……
入院中、1日に何回も体重を測って、一喜一憂してしまうお母さん。
実はとても多いんです。
今日は、母乳育児を頑張りたいお母さんに向けて、「本当に大切なこと」を助産師目線でお話しします。
母乳は、産後すぐにジャージャー出るものではありません
まず安心してほしいのは、母乳は産後すぐ大量に出るものではない、ということ。
むしろ、退院する頃に少しずつ軌道に乗ってくるくらいが自然です。
「全然出ません…」と涙ぐむお母さん。
うんうん、大丈夫。珍しくありません。
ただし、母乳の分泌には個人差があります。
特に、
- 年齢
- 体力
- 妊娠中の生活習慣
- 栄養状態
- 休息
これらはかなり影響します。
一般的に10代・20代前半のお母さんは分泌が良い傾向がありますが、30代以降は身体の回復にも時間がかかりやすく、母乳育児にも“準備力”が必要になります。
母乳育児で本当に大切なのは「体重測定」ではない
ここ、声を大にして言いたい。
母乳分泌に大事なのは、
- しっかり休むこと
- 頻回授乳
- 栄養を摂ること
- 赤ちゃんと一緒に過ごすこと
です。
この中に「何回も体重を測る」は入っていません。
入院中の赤ちゃんの体重増加なんて、本当にわずか。
それなのに毎回測ることで、
「増えてない…」
「足りてないのかな…」
「私のおっぱいダメなんだ…」
と落ち込んでしまう。
でもね、その不安やストレスが、今度は母乳分泌に影響してしまうんです。
お母さんの身体って、ものすごく繊細なんですよ。
母乳育児は「産後から」ではなく妊娠中から始まっている
私はよく妊婦さんに言います。
「母乳育児は妊娠中から始まっていますよ」と。
すると、「えっ、まだ産まれてないのに?」って顔をされます。笑
でも本当にそうなんです。
妊娠中から、
- 体力をつける
- 睡眠を整える
- 食事を見直す
- 冷えを防ぐ
- お産に向けて身体を作る
こういう積み重ねが、産後の回復力や母乳分泌につながっていきます。
母乳育児がうまくいかず悩む方の多くは、決して“努力不足”ではありません。
ただ、「準備の大切さ」を知らなかっただけなんです。
赤ちゃんと一緒に過ごす時間が、母乳を育てる
出産後すぐから母子同室を頑張ったお母さんは、比較的スムーズに母乳育児へ移行しやすい傾向があります。
赤ちゃんは、お母さんのおっぱいを吸いながら、
「こうやって飲むんだ」
「ここが安心する場所なんだ」
と学んでいきます。
逆に、長時間預けることが続くと、哺乳瓶の飲み方に慣れてしまい、おっぱいを吸うのが難しくなる“吸啜混乱(きゅうてつこんらん)”が起きることもあります。
もちろん、産後の体調は本当に人それぞれ。
無理をしすぎる必要はありません。
でも、「今が母乳育児のスタートなんだ」と知っておくだけでも、お母さんの選択は変わってきます。
助産師が口うるさく見える理由
助産師って、ときどき厳しく見えるでしょう?
「休んで!」
「ちゃんと食べて!」
「夜も授乳して!」
……もう親戚のおばちゃん並みに言います。笑
でも、それには理由があります。
私たちは毎日、たくさんの産後トラブルを見ています。
- 母乳が出なくて苦しむお母さん
- 乳腺炎で高熱を出すお母さん
- 睡眠不足で限界になるお母さん
- 「こんなはずじゃなかった」と泣くお母さん
だから、「今のうちにできること」を必死で伝えたくなるんです。
少々おせっかいでも、未来のお母さんを助けたい。
そんな気持ちで言っています。
完璧じゃなくていい。でも“知っておく”ことは大事
ここまで読んで、
「ちゃんとできてない…」
「私ダメかも…」
と思わないでくださいね。
育児は、始まってみないと分からないことだらけです。
でも、知識があるだけで防げる苦労もあります。
だから私は、少しでも多くのお母さんに、
- 母乳育児の現実
- 妊娠中の準備の大切さ
- 産後の身体の変化
を知ってほしいと思っています。
母乳でも、ミルクでも、混合でも。
最終的に赤ちゃんが元気に育てば、それが一番。
ただ、「母乳育児を頑張りたい」と思うなら、妊娠中から身体を整えておくことは、きっとお母さん自身を助けてくれます。
最後に。お母さん、自分を責めないで
母乳育児って、想像以上に体力も気力も使います。
だからこそ、
- 頑張りすぎない
- 一人で抱え込まない
- 不安を相談する
これも、とても大切。
お母さんが笑っていること。
それが赤ちゃんにとって、一番の安心です。
今日も授乳、おつかれさま。
眠れる時は5分でも寝てくださいね。