妊娠、出産、育児・・・それは女性にとっての大転機。
 女性はおなかに宿した小さな命のために、自分に何ができるか考え、自分以外の命を懸命に育もうとします。

 しかし・・・意外と何から取りかかれば良いのか、何が体に良いことか・・・考えてもすぐにはたどり着けないものです。それは決して、あなたに母としての才能がないからではありません。
 妊娠出産がたどる経過はご先祖の時代から変化していませんから、世間では女性とは生まれた瞬間から『妊娠→出産→育児』を自然の流れでやりこなせる生き物と思われがちですが、それはとんでもない誤解です。
 ここ数十年、核家族が主流となり世代を超えて『生活の知恵』を伝授する機会が少なくなっています。昔の方たちが難なく育児がこなせた様に見えたのは、大家族が自然な形であった事で、そばに『生活の知恵』を伝授してくれる経験豊富なご年配の存在や、多産だったがゆえに幼いころから赤ちゃんに触れる機会が日常の中にあったからこそ自然と学習できていたからであり、決して先天的に「成熟した子育ての才能」があった訳ではありません。昔も今も人はこの一連の大仕事を何の経験や知識もなくこなしていくには大変な事だったのです。要するに母親としての技能は、妊娠中の体調管理、出産の心構え、母乳育児すべてにおいて習練により培われていくものなのです。
 本来なら経験として自分の母親に期待したいところですが、母親の世代は既に病院出産や核家族化、女性の社会進出による育児経験の不足から伝授できる事も少なく、最近では知恵袋的な存在が専門知識をもつ助産師に移行しつつあります。
 そのため助産師として私たちができることは、専門家としての知識はもちろんのこと。過去に関わってきたお母さん方や自身の育児経験を伝授し、うれしいときは共に笑い悲しいときは共に憂い、くじけそうになった時は叱咤激励を飛ばしながら喜怒哀楽を分かち合う。妊婦さんの気持ちに寄り添い、母として女性として成長されることを見守っていくことです。そしてそれが『お産の森の助産師』の役割であると考えています。